前回の記事では、ビットコインが大型オプション満期をほぼ無風で通過したあと、原油高や米金利上昇によって再び調整し、次の重要イベントとして米PCE物価指数に注目していました。
そして9月30日、実際にPCEが発表されました。
結果は、市場が警戒していたほど悪くありませんでした。
むしろ、
「もしかすると9月の利上げが最後だったのでは?」
というシナリオが、少しずつ現実味を帯び始めています。
今回は、PCE発表後の市場の変化と、次の雇用統計、さらにその先にある「利上げ終了 → 据え置き → 利下げ」という流れについて、ビットコイン投資家目線で整理してみます。
PCEは予想より弱かった
9月30日に発表された8月のPCE物価指数は、前年比+3.4%でした。
市場では3.7%程度が予想されていたため、結果は予想を下回りました。
さらに、食品とエネルギーを除いたコアPCEも前年比+3.0%。
こちらも市場予想を下回っています。
これはFedにとってかなり重要です。
Fedは9月に0.25%の利上げを実施しました。
その背景には、
「インフレが再び強くなっているのではないか」
という警戒がありました。
しかし今回のPCEを見る限り、少なくとも8月時点では、物価が想定以上に加速しているわけではありません。
そのため市場では、
「10月にすぐ追加利上げする必要はないのでは?」
という見方が強まりました。
10月利上げの可能性はかなり低下
PCE発表後、市場が織り込む10月FOMCでの利上げ確率は約3分の1程度まで低下しました。
つまり現在は、
10月利上げより、据え置きのほうが有力
という状況です。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、追加利上げについて「急ぐ必要はない」という姿勢を示しています。
数週間前までは、
「10月も利上げするのでは?」
という警戒がかなり強かったことを考えると、空気は少し変わってきました。
ただし、これで完全に安心というわけではありません。
PCEは良かった。でもアメリカ経済はまだ強い
今回のPCEにはもう一つ重要な数字がありました。
8月の個人消費は前月比+0.9%。
かなり強い数字です。
つまり、
物価上昇は予想より弱かった
でもアメリカ人はまだかなりお金を使っている
という状態です。
消費が強ければ企業の売上も伸びやすく、景気はなかなか冷えません。
景気が強すぎると、
需要が強い
→ 価格が上がりやすい
→ インフレが再び加速する
可能性があります。
だからFedとしても、
「PCEが1回良かったから、もう利上げ終了」
とはまだ言い切れないわけです。
次は10月2日の雇用統計
そこで次に重要になるのが、9月の米雇用統計です。
市場予想では、
非農業部門雇用者数は約+9万人、失業率は4.1%
が予想されています。
8月の+16.2万人からはかなり減速する見込みです。
一方、ADPが発表した9月の民間雇用者数は+9万人。
市場予想の+7万人を上回りました。
ただしADPと政府の雇用統計は一致しないことも多いため、まだ本番を見る必要があります。
僕が今回特に注目しているのは、
「雇用が少し弱くなるか」
です。
今のBTCには「少し弱い雇用」がむしろプラス
普通に考えると、
「雇用が強い=景気が良い=株やBTCにも良い」
と思います。
しかし今は少し違います。
雇用が強すぎると、
景気が強い
→ Fedがまだ利上げできる
→ 米金利が上がる
→ BTCには逆風
となる可能性があります。
逆に、
雇用は少し減速する
でも失業者が急増するほどではない
という状態なら、
景気後退は避けながら
↓
インフレ圧力だけ弱くなる
↓
Fedは利上げしなくて済む
という、BTCにはかなり理想的な展開になります。
個人的には今回、
雇用者数+5〜10万人程度、失業率4.1〜4.2%
くらいなら、市場にとってかなり受け入れやすいのではないかと思っています。
「10月見送り → 12月も見送り」の可能性はある?
ここで僕が気になってきたのが、
「10月だけではなく、12月も利上げしない可能性」
です。
Fedが9月に出した公式見通しでは、2026年末の政策金利中央値は4.1%となっています。
現在の政策金利は3.75〜4.00%なので、この見通し通りなら、年内にあと1回0.25%利上げする計算です。
つまりFedの公式な中心シナリオはまだ、
9月利上げ
→ どこかでもう1回利上げ
→ その後据え置き
です。
ただし、これは決定事項ではありません。
今後、
PCEがさらに鈍化する
雇用も少し弱くなる
CPIも落ち着く
原油も下がる
という状態が続けば、
「あと1回の利上げ、本当に必要?」
という議論が強くなる可能性があります。
つまり、
10月据え置き
→ 12月も据え置き
→ 結果的に9月の利上げが最後だった
というシナリオも十分残っています。
今は「利下げ」より「利上げ終了」を確認している段階
ここで少し整理しておきたいのが、
「もう利下げ方向へ向かっているのか?」
という点です。
僕自身、今の状況を見て、
「利下げに向けた最終調整みたいな感じなのかな?」
と思いました。
感覚としてはかなり近いと思います。
ただ、正確には、
利下げへ向かっているというより、まず“利上げを終えていいか”確認している段階
です。
今の流れを簡単に並べると、
利上げ
→ 最後の利上げが必要か確認 ← 今ここ
→ 据え置き
→ 利上げ終了を市場が確信
→ 次は利下げ時期を意識
→ 実際に利下げ
となります。
市場の目線は少しずつ、
「次はいつ利上げ?」
から、
「もしかして、もう利上げは終わった?」
へ移り始めています。
Fedは2028年から金利低下を想定
さらに長期で見ると興味深いです。
Fedの9月時点の政策金利見通し中央値は、
2026年末:4.1%
2027年末:4.1%
2028年末:3.9%
2029年末:3.6%
となっています。
つまりFed自身も現時点では、
2027年までは高金利を維持し、その後2028年から少しずつ金利を下げる
イメージを持っています。
ただし、ここで大切なのは、
実際に2028年になってから相場が動き始めるわけではない
ということです。
市場は実際の利下げより前に動く
株やBTCなどの金融市場は、
現在よりも「これからどうなるか」
を見ています。
たとえば2027年になって、
インフレが2%台まで低下
↓
雇用も少し落ち着く
↓
Fed関係者が「次の一手は利下げ」と話し始める
となれば、
実際にはまだ利下げしていなくても、
「2028年には本当に下げられそうだ」
と市場が考え始めます。
すると、
米国債利回りが下がる
↓
ドル高が弱くなる
↓
株やBTCなどへ資金が向かいやすくなる
可能性があります。
だからBTC投資家にとっては、
利下げした日そのものより、「市場が利下げを本気で信じ始める時期」のほうが重要
だと思っています。
2027年が意外と重要になるかもしれない
もしFedの現在のシナリオ通り、
2028年から利下げ
となるなら、市場がその可能性を意識し始めるのは当然もっと前です。
2027年の途中から、
「次は利下げの方向では?」
という見方が強くなる可能性があります。
そうなると、BTCにとって2028年の実際の利下げ以上に、
2027年の“利下げ期待相場”
が重要になる可能性があります。
もちろん、これは現時点で決まっているわけではありません。
インフレが再び強くなれば、Fedの見通しも変わります。
逆に景気が予想以上に弱くなれば、利下げが2027年へ前倒しされる可能性もあります。
BTCがあまり動いていないのも納得できる
PCEが予想より弱かったにもかかわらず、BTCは今のところ大きく上昇していません。
最初は、
「良いPCEだったのに、なぜ上がらないんだろう?」
と思いました。
ただ、今の状況を整理すると納得できます。
市場は、
10月利上げはなさそう
というところまでは織り込み始めています。
しかし、
12月もない
→ 9月が最後だった
→ 次は利下げ
まで完全に織り込んだわけではありません。
つまり今のBTCは、
次の確証待ち
という状態なのだと思います。
次の雇用統計やCPIがさらに弱くなれば、市場の認識が一段進む可能性があります。
今後の流れをどう見るか
僕自身は、今後の金融政策を次のようなイメージで見ています。
現在
→ 追加利上げが本当に必要か確認
10月
→ 据え置きの可能性が高まる
12月
→ インフレ・雇用次第で最後の利上げ、または据え置き
2027年
→ 高金利を維持しながらインフレ低下を確認
その途中
→ 市場が「次は利下げ」を織り込み始める可能性
2028年
→ Fedの現在の見通しでは金利低下開始
このシナリオになれば、
2026年末〜2027年前半は「利上げ終了」
2027年後半は「利下げ期待」
がBTCを動かすテーマになる可能性があります。
まとめ|相場のテーマが少しずつ変わり始めた
前回の記事では、
ETF買い vs インフレ・高金利
という構図でBTCを見ていました。
その後PCEが予想より弱かったことで、少し状況が変わりました。
今は、
「追加利上げはあと何回?」
から、
「もしかすると、もう利上げは終わり?」
へ、市場の関心が移り始めています。
まだ利下げ局面ではありません。
Fedも現時点では2026年中の追加利上げを想定しています。
しかし、
10月据え置き
→ 12月も据え置き
→ 9月が最後の利上げだった
というシナリオも残っています。
そして、その確認が取れれば、次に市場が考え始めるのは、
「では、いつ利下げするのか?」
です。
BTCにとって本当に面白くなるのは、実際に利下げが始まる瞬間ではなく、市場がその未来を先に織り込み始めるタイミングなのかもしれません。
まずは10月2日の雇用統計。
ここで雇用の減速が確認されるのか。
今回も数字だけを見るのではなく、
雇用統計
→ 利上げ予想
→ 米金利
→ ドル
→ BTC
という流れで追っていこうと思います。
※本記事は2026年10月1日時点の公開情報と筆者自身の相場観察をもとにまとめたものであり、特定の暗号資産や金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
参照先
- Reuters「Fed seen pausing in October after softer inflation data」
Reutersの記事を見る - Reuters「US private payrolls growth picks up in September, ADP says」
Reutersの記事を見る - Federal Reserve「Summary of Economic Projections, September 2026」
FRBの公式資料を見る
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