2026年9月、ビットコイン相場を見ていて、少し不思議に感じる動きがありました。
米FRB(連邦準備制度理事会)が3年ぶりとなる利上げを決定したにもかかわらず、ビットコインが上昇したからです。
一般的には、
利上げ → 金利上昇 → 株や仮想通貨などリスク資産には逆風
と考えられます。
ところが実際には、BTCは75,000ドル付近から反発し、80,000ドルを突破。その後83,000ドル、さらに一時87,000ドル台まで上昇しました。
僕自身、リアルタイムで価格を追いながら、
「利上げしたのになぜ上がっているんだろう?」
「83,000ドルを突破したのは何か材料が出たから?」
「かなり強かったのに、なぜ急に下がった?」
と、その都度調べていました。
今回は、2026年9月のビットコイン相場で何が起きていたのかを、時系列で整理してみます。
まず結論|「利上げ=BTC下落」ではなかった
今回の値動きを一言でまとめるなら、
悪材料が事前に織り込まれたあと、ETFへの資金流入や原油下落、規制面の前進など複数の好材料が重なり、BTCが買い戻された
という流れです。
一方、87,000ドル台まで急騰したあとは、米金利上昇や利益確定、レバレッジポジションの清算などが重なり、再び83,000ドル台まで調整しました。
つまり、
上昇 → 強気相場確定
でも、
急落 → 上昇終了
でもありません。
現在はむしろ、75,000ドル台から始まった上昇が本物なのかを市場が確認している段階だと僕は見ています。
9月16日|FRBが0.25%利上げ
9月16日、FRBは政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.75〜4.00%としました。
さらにFOMC参加者は、2026年中にもう1回の利上げを想定しています。インフレがまだ十分に収まっていないため、金融政策としては明らかに引き締め方向です。
普通に考えればBTCには悪材料です。
ところが、BTCはその後上昇しました。
理由の一つが、利上げがすでに市場に織り込まれていたことです。
発表前から0.25%利上げはかなり予想されていました。
そのため、
「利上げされるかもしれない」
という不安で先に売られ、
実際に利上げが発表されたあとには、
「想定以上に悪くなかった」
として買い戻されたわけです。
株式市場でよくある、
噂で売って、事実で買い戻す
という動きに近いものです。
9月18日|BTCが80,000ドルを回復
その後、BTCは80,000ドル台を回復します。
このタイミングでは、仮想通貨市場にいくつかのプラス材料が出ていました。
SECやCFTCが暗号資産関連のルール整備を進める姿勢を見せたことに加え、米国の現物BTC ETFにも再び資金が入ってきました。
9月18日には、米現物BTC ETFへ約4.33億ドルの純流入。
FidelityのFBTCだけで約3.11億ドル、BlackRockのIBITにも約1.08億ドルが流入しています。
BTCは、
75,000ドル台 → 80,000ドル
へ一気に戻しました。
このあたりから、
「単なるFOMC後の買い戻しではないのでは?」
と感じ始めました。
原油価格の下落もBTCを後押しした
今回、意外に重要だったのが原油価格です。
原油が上がると、
原油高
→ 物価上昇
→ インフレ再加速
→ FRBがさらに利上げ
→ 米金利上昇
→ BTCなどリスク資産には逆風
となります。
しかし9月後半にかけて原油価格が下落。
9月23日にはブレント原油が100ドルを下回る場面もありました。
つまり、
「インフレがさらに悪化するのではないか」という警戒感が少し後退した
わけです。
BTCにとって、これはかなり重要な変化でした。
9月21日|83,000ドルを突破
そして9月21日。
GoogleでBTC価格を見ると、約1,317万円まで上昇していました。
当時のドル円で換算すると約83,000〜84,000ドル。
つい数日前まで75,000ドル台だったBTCが、あっという間に83,000ドルを突破したことになります。
さらにBTCはその後、一時87,300ドル前後まで上昇しました。
ここで出てきた非常に大きな材料が、BTC ETFへの資金流入です。
9月21日月曜日、米国の現物BTC ETFには、
約9億9,895万ドル
もの資金が流入しました。
ほぼ10億ドルです。
これは約11か月ぶりの最大規模。
BlackRockのIBITには約3.81億ドル、ARK・21Sharesには約2.89億ドル、Fidelityには約2.39億ドルが入りました。
つまり今回の上昇には、
単純な個人投資家の買いだけではなく、
機関投資家からの現物需要
も入っていたことになります。
これは今回の上昇を考えるうえで、かなり重要だと思っています。
ショートスクイーズも上昇を加速
ただし、75,000ドルから87,000ドルまでの上昇すべてが現物買いだったわけではありません。
BTCが80,000ドルや85,000ドルといった重要ラインを突破すると、
「ここから下がる」
とショートしていた投資家が損切りを迫られます。
ショートポジションを閉じるにはBTCを買い戻す必要があります。
つまり、
BTC上昇
→ ショート勢が損失
→ 強制決済でBTCを買い戻す
→ さらにBTC上昇
→ 次のショートも強制決済
という連鎖が起こります。
いわゆるショートスクイーズです。
The Blockも87,000ドル付近までの上昇について、ETF需要だけではなく、リスクオンとショートカバーが重なったと分析しています。
だから上昇スピードが非常に速かったわけです。
「このまま90,000ドル?」と思ったところで急落
87,000ドル台まで来ると、
「このまま90,000ドルを突破するのでは?」
と思いたくなります。
しかしBTCは87,300ドル付近で上値を抑えられました。
その後、85,000ドル、84,000ドル、83,000ドル台へと下落しています。
ここで最初は、
「何か大きな悪材料が出た?」
と思いました。
ただ調べてみると、暗号資産そのものに致命的なニュースが出たわけではありませんでした。
主な原因は、
急騰後の利益確定、米国債利回りの上昇、レバレッジポジションの清算
です。
9月23日時点でも、BTCの上昇を支えていたETF需要自体は強い一方、取引量や市場全体の広がりが弱くなっており、一度調整が入る可能性が指摘されていました。
要するに、
上昇が速すぎたので、一度熱を冷ましている
という側面もありそうです。
9月25日の「大型オプション満期」とは?
さらに今回、BTC相場で気になった言葉があります。
「大型オプション満期」
です。
9月25日には、世界最大級の暗号資産オプション取引所Deribitで、
約159億ドル規模のBTCオプション
が満期を迎えます。
日本円にすると約2.5兆円規模です。
しかも、Deribitに存在するBTCオプション建玉全体の約37%が一度に期限を迎える大きなイベントです。
満期時刻は08:00 UTC。
フィリピン時間では9月25日16時ごろです。Deribitの四半期・月次などの期限は08:00 UTCに設定されています。
そもそもBTCオプションとは?
オプションは簡単にいうと、
「将来、決められた価格でBTCを売買できる権利」
です。
例えば、
「BTCは90,000ドルを超える」
と思った人が、90,000ドルで買える権利を購入する。
反対に、
「80,000ドル以下へ落ちる」
と思った人は、売る権利を購入する。
こうした契約には期限があります。
その大量の契約が一斉に終了するのが、今回の大型オプション満期です。
なぜオプション満期でBTC価格が動くの?
オプションを販売しているマーケットメーカーは、価格変動による損失を抑えるために、
BTCやETFなどを実際に売買してヘッジ
します。
BTC価格がオプションの重要な行使価格へ近づけば近づくほど、マーケットメーカーによる買いや売りが増える場合があります。
ところが満期を迎えると、そのオプションが消えます。
すると、
それまで必要だったヘッジも必要なくなる
可能性があります。
そのため大型オプション満期の前後では、価格が特定の水準に引っ張られたり、満期後に急に動きやすくなったりすることがあります。
今回の満期では85,000ドルや100,000ドル付近にコールポジションが多く存在していると報じられています。
「Max Pain 75,000ドル」だから75,000ドルまで落ちる?
今回もう一つ話題になっているのが、
Max Pain=75,000ドル
という数字です。
Max Painとは、
オプション購入者全体が最も損失を受けやすい価格
のことです。
今回の大型満期では75,000ドル付近とされています。
ただし、
「BTCが75,000ドルまで下がる予想」という意味ではありません。
ここはかなり重要です。
ETFへの現物買いや株式市場、金利、原油など別の力が強ければ、BTCはMax Painとは大きく離れたまま満期を迎えることも普通にあります。
Max Painはあくまでオプション市場で意識される一つの価格帯です。
今回の9月相場を時系列で整理
| 時期 | BTCの動き | 主な材料 |
|---|---|---|
| 9月16日 | 75K前後 | FRBが0.25%利上げ |
| 9月18日 | 80K回復 | 悪材料織り込み・ETF流入・規制前進 |
| 9月21日 | 83K突破 | 原油下落・リスクオン |
| 9月21〜22日 | 一時87.3K | 約10億ドルのETF流入・ショートスクイーズ |
| 9月23〜24日 | 83〜86Kへ調整 | 利益確定・米金利上昇・レバレッジ清算 |
| 9月25日 | 83K台 | 約159億ドルのBTCオプション満期 |
こうして見ると、今回の相場はかなりわかりやすいです。
利上げされたから下落した、あるいは好材料が出たから上昇した、という一つの理由だけでは動いていません。
複数の材料が同時に綱引きをしています。
今後はどこを見る?
僕が今後特に注目しているのは、82,000ドル付近と87,000〜90,000ドル付近です。
83〜85K前後で推移している程度なら、75Kから87Kまで急上昇したあとの調整としてそれほど不自然ではありません。
一方、
82Kを明確に割る
ようになると、少し警戒したいところ。
さらに78〜80Kを割り込んでしまうと、今回の上昇トレンドそのものが弱くなった可能性も考える必要があります。
逆に、
87.3Kを再び突破し、その上で価格を維持
できれば、次は心理的節目の90,000ドルが意識されます。
そして価格以上にチェックしておきたいのが、
BTC現物ETFへの資金流入、米国債利回り、原油価格、FRBの追加利上げ観測
です。
今のBTCは、
強いETF需要
と、
高金利
が綱引きしているような状態だと感じています。
僕が今回あらためて感じたこと
今回リアルタイムで相場を追っていて改めて感じたのは、
「利上げ=BTC下落」のように、一つの材料だけで相場を判断するとかなり危ない
ということです。
今回もFRBは利上げしました。
普通ならBTCにはマイナスです。
しかし同時に、
ETFには大量の資金が入り、原油価格が下落し、暗号資産規制も前進し、ショートスクイーズまで発生しました。
結果としてBTCは、
75,000ドル台から一時87,000ドル台
まで上昇しています。
反対に、その後下がったからといって、
「上昇相場終了」
とも限りません。
急騰した相場では利益確定も入りますし、デリバティブ市場のポジション整理も発生します。
だから最近は価格だけを見るのではなく、
「なぜ今この価格になっているのか?」
を見ることが、以前以上に大事だと感じています。
まとめ|BTCは「次の方向を決める局面」
2026年9月のBTC相場は、
FRB利上げ
→ BTC反発
→ 80K突破
→ ETF資金流入
→ 83K突破
→ ショートスクイーズ
→ 87K突破
→ 利益確定・金利上昇で調整
→ 大型オプション満期
という非常に濃い展開になりました。
9月25日時点では、まだ僕は「上昇相場が終わった」とは見ていません。
むしろ、
急騰後のポジション整理をしながら、次の方向を探している
という見方をしています。
ここから再び87Kを突破するのか。
それとも82K、80K方向へ調整するのか。
特に今回の大型オプション満期が通過したあと、BTCがどちらへ動くのかはかなり注目しています。
短期的な価格予想だけに振り回されず、
ETF・金利・原油・FRB・デリバティブ市場
を一緒に見る。
今回のBTC相場は、その重要性を改めて実感させてくれる相場になっています。
※本記事は2026年9月25日時点の公開情報と筆者自身の相場観察をもとにまとめたもので、特定の暗号資産の購入・売却を推奨するものではありません。
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