最近、仮想通貨市場を見ていて面白い動きがあります。
原油価格が下がるのとほぼ同時に、ビットコインをはじめとする仮想通貨が上昇しているのです。
一見すると、
「原油とビットコインって何の関係があるの?」
と思いますよね。
僕自身も相場を追いながら調べてみたところ、その間には、
イラン戦争 → 原油価格 → インフレ → 金利 → 投資マネー → 仮想通貨
というかなり分かりやすい流れがありました。
この記事では、イラン戦争によってなぜ物価が上昇するのか、そしてBTC・ETH・XRPなどの主要仮想通貨にどんな影響があるのかを整理します。
※この記事は2026年9月22日時点の情報をもとにしています。
アメリカのイラン戦争には、すでに巨額のお金が使われている
まず押さえておきたいのが戦争そのものにかかる費用です。
米議会予算局(CBO)の試算についてReutersが報じたところによると、2026年8月1日までの約6カ月間で、米国のイラン戦争にかかった費用は約380億ドル。
さらに戦争が続けば、毎月約30億ドルずつ費用が増えていくとされています。
もちろん、戦費が増えれば米国政府の財政負担も大きくなります。
ただし、
「戦争費用が増える → 政府がお金を印刷する → すぐインフレ」
と考えるのは少し単純すぎます。
米政府は基本的に国債などを通じて資金を調達します。
今回もっと直接的に物価へ影響しているのは、むしろ原油と物流コストの上昇です。
戦争で物価が上がる一番大きな理由は「原油」
中東で戦争が起きると、市場がまず心配するのが石油です。
特に重要なのがホルムズ海峡。
世界の原油輸送にとって非常に重要なルートで、イラン周辺の緊張が高まると、
「石油を今まで通り運べなくなるのでは?」
という不安が市場に広がります。
実際、2026年9月21日のReuters報道では、戦争前には大型商船が1日約125隻通っていたのに対し、直近の週末にホルムズ海峡を通過した商品輸送船は17隻にまで減少しています。
石油の供給が不安定になると、
原油価格が上がる
↓
ガソリン・軽油が上がる
↓
トラック・船・飛行機などの輸送費が上がる
↓
企業のコストが上がる
↓
商品の販売価格が上がる
という流れが起きます。
スーパーに並んでいる食品ですら、農場から工場、倉庫、店舗へ運ぶまでに大量の燃料を使います。
つまり、原油価格の上昇はエネルギー関連だけの問題ではありません。
最終的には食品、日用品、航空券、配送費など、幅広い物価に波及します。
物流コストも急上昇している
さらに今回は、燃料価格だけではありません。
Reutersによると、中国から米国東海岸への40フィートコンテナのスポット運賃は、イラン戦争が始まってから4倍以上に上昇し、1コンテナあたり10,948ドルに達しました。
これも企業にとってはコストです。
たとえば中国で作った商品をアメリカで売る場合、
商品価格が同じでも、
輸送するだけで以前より大幅にお金がかかる
ことになります。
企業がすべて負担するのは難しいので、その一部は最終的に商品価格へ転嫁されます。
これが戦争によるインフレの怖いところです。
原油価格はいくらくらいが「普通」なのか?
では、1バレル100ドルという現在の原油価格は高いのでしょうか?
結論からいうと、かなり高い水準です。
米エネルギー情報局(EIA)のデータを見ると、WTI原油の年間平均価格は、
2023年:約77.6ドル
2024年:約76.6ドル
2025年:約65.4ドル
でした。
Brent原油でも、
2023年:約82.5ドル
2024年:約80.5ドル
2025年:約69.1ドル
です。
そのため、ここ数年を基準にするなら、WTIで60〜80ドル程度は比較的落ち着いた価格帯と考えられます。
逆に100ドルを超えてくると、かなり高い。
実際、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた2022年には、Brent原油の年間平均が約100.9ドルまで上昇しました。
つまり現在の原油市場は、まだ「普通」に戻ったとは言えません。
ところが、最近原油価格が下がってきた
ここからが2026年9月現在の注目ポイントです。
9月21日、Brent原油は前日比3.4%安の1バレル100.34ドルまで下落。
WTIも4.5%下落し、95.78ドルとなりました。
背景には、サウジアラビアからの原油輸出回復に加え、国連総会を舞台にした米国とイランの外交進展への期待があります。
9月22日時点では少し反発しており、Brent約100.57ドル、WTI約95.80ドルですが、少なくとも直前の高値からは落ち着いています。
つまり市場では少しずつ、
「戦争がさらに激化して石油供給が壊れる」
という最悪シナリオへの警戒が弱まっているわけです。
そして同時にビットコインが上がった
面白いのがここです。
原油価格が下落した9月21日、Bitcoinは6%以上上昇。
同時に米国10年債利回りも5%を下回り、NASDAQも上昇しました。
これは偶然というより、
原油安によってインフレ懸念が少し後退し、リスク資産を買いやすい環境になった
ことが背景の一つとして考えられます。
流れを整理すると、
原油価格が下がる
↓
将来のインフレ懸念が弱まる
↓
追加利上げへの警戒が弱まる
↓
長期金利が下がる
↓
株や仮想通貨などリスク資産が買われる
という構造です。
なぜ金利が下がるとビットコインが上がりやすいのか?
ここは投資をするうえでかなり重要です。
金利が高い世界では、安全性の高い米国債などでも比較的高い利回りを得られます。
すると投資家は、
「わざわざ値動きの激しいBTCを買わなくても国債でいい」
と考えやすくなります。
逆に金利が下がれば、安全資産から得られるリターンが小さくなります。
その結果、
株式、Bitcoin、Ethereumなど、より高いリターンを狙える資産へお金が向かいやすくなる
わけです。
だから仮想通貨を見ている人にとって、FRBの政策金利は非常に重要なのです。
FRBも実際にインフレを警戒している
2026年9月16日、FRBは政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%としました。
FOMCの声明でも、
「インフレは依然として高い」
と明記されています。
つまり現在の仮想通貨市場にとって重要なのは、
単純に、
「戦争が終わるかどうか」
だけではありません。
より重要なのは、
戦争が原油価格にどう影響し、それがインフレとFRBの金融政策にどうつながるか
なのです。
BTC・ETH・XRPへの影響は少しずつ違う
ここまでの話から考えると、原油価格の下落とインフレ懸念の後退は、主要仮想通貨に基本的にはプラス材料です。
ただし、反応の大きさは同じではありません。
Bitcoinは仮想通貨市場の中心なので、機関投資家の資金や世界的な金融環境の影響を最も直接受けやすい資産の一つです。
EthereumはBitcoin以上にリスク資産として扱われる場面があり、市場が完全に「リスクオン」へ向かえば大きく反応する可能性があります。
XRPを含むアルトコインはさらに値動きが大きいため、Bitcoin上昇後に資金がアルト市場へ広がれば大きく上昇することがあります。
一方で、逆も同じです。
戦争が再び激化し、
原油急騰 → インフレ懸念再燃 → 金利上昇
となれば、Bitcoin以上にETHやXRPなどが大きく売られる可能性もあります。
イラン戦争は終結に向かっているのか?
現時点では、
「終戦が決まった」と考えるのはまだ早い
でしょう。
ただし、外交に向けた動きが出てきていることは事実です。
9月22日時点で、市場は国連総会における米国とイランの協議の可能性を注視しており、それがここ数日の原油価格下落の材料の一つになっています。
一方、ホルムズ海峡の船舶交通はまだ戦争前の水準には程遠い状態です。
つまり、
戦争は続いているものの、市場が少しずつ外交シナリオも織り込み始めた
という段階でしょう。
中間選挙も無視できない
さらに2026年11月には米国の中間選挙があります。
ただし、
「トランプ政権が中間選挙のために戦争を終わらせようとしている」
と断定できる証拠はありません。
ここは分けて考える必要があります。
一方で、戦争による燃料価格と生活費の上昇が政権・共和党に政治的な圧力を与えていることは確認できます。
9月21日に発表されたReuters/Ipsos調査では、トランプ大統領の支持率は32%で、生活費への対応についての支持率は17%でした。調査対象は米国成人1,277人で、誤差幅は約3ポイントです。
また同日には、共和党の上院候補者2人が燃料価格などへの懸念を理由の一つとして、イラン戦争の早期終結を訴えたとReutersが報じています。
したがって、
戦争長期化
→ 原油高
→ ガソリン・物価上昇
→ 有権者の不満
という状況を中間選挙前に改善したいという政治的インセンティブが生まれること自体は自然です。
ただし、実際の停戦は米国だけでは決められません。
イラン、イスラエル、湾岸諸国など複数の国や勢力が絡むため、選挙の日程だけで戦争の行方を判断するのは危険です。
僕が今後チェックしているポイント
今後の仮想通貨相場を見るうえで、僕は「Bitcoinだけ」を見るのではなく、次の流れをセットで見ていきたいと思っています。
- Brent・WTI原油:100ドル割れから90ドル、80ドル台へ下がるか
- 米国10年債利回り:原油とともに低下していくか
- FRB:追加利上げ姿勢が弱まるか
- 米国・イラン協議:停戦やホルムズ海峡正常化につながる具体策が出るか
- Bitcoin:BTC上昇後、ETHやXRPへ資金が広がるか
特に分かりやすいのが原油です。
BrentやWTIが100ドル台から90ドル、さらに80ドル台へ戻れば、
エネルギーインフレが落ち着く可能性
がかなり高まります。
反対に再び110〜120ドルへ急騰するようなら、インフレ再加速と追加利上げへの警戒が強くなります。
まとめ|原油を見ると仮想通貨相場が少し見えやすくなる
今回改めて感じたのは、BitcoinやEthereumを見ているだけでは、仮想通貨市場の動きを十分に理解できないということです。
イラン戦争の場合、
戦争
→ 原油供給への不安
→ 原油高
→ 物流費上昇
→ インフレ
→ FRBの利上げ
→ 金利上昇
→ 仮想通貨への逆風
という流れがあります。
逆に現在のように、
外交期待
→ 原油価格下落
→ インフレ懸念後退
→ 金利低下
→ リスクオン
→ Bitcoin上昇
という逆回転も起こります。
もちろん、仮想通貨価格は原油だけで決まるわけではありません。
ETFへの資金流入、規制、企業による購入、ドル、景気、仮想通貨固有のニュースなど、さまざまな要因が絡みます。
それでも、現在のような地政学リスクが高い局面では、
「原油 → インフレ → 金利 → 仮想通貨」
という一本の線を知っているだけで、ニュースの見え方がかなり変わります。
僕自身も今後はBTCの価格だけを見るのではなく、原油価格と米国10年債利回りをセットでチェックしていくつもりです。
特に、原油が100ドルを明確に割り、90ドル台、80ドル台へ戻っていくのか。
そして米国とイランの外交が本当に停戦へつながるのか。
この2つは、2026年後半のBitcoin・Ethereum・XRPを見るうえでも重要なポイントになりそうです。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。仮想通貨を含む投資には価格変動リスクがあります。最終的な投資判断はご自身で行ってください。
RYOのリアル投資ログをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。





