こんにちは、リョウです。
ここ数日、米国市場を追っていて、かなり興味深い動きがありました。
きっかけは、FRB(米連邦準備制度理事会)のケビン・ウォーシュ議長によるジャクソンホールでの発言です。
「インフレが十分に下がらなければ、FRBにはまだやるべきことがある」
という趣旨の発言を受け、市場では再び利上げが意識されるようになりました。
僕自身、半導体株や仮想通貨を保有・運用しているので、
「これはNVIDIAや半導体にどこまで影響するのか?」
「Bitcoinまで下がるのか?」
とリアルタイムで市場を追っていました。
ところが、実際の市場は単純ではありませんでした。
今回は、ウォーシュ発言から数日間の市場を追って見えてきたことを整理してみます。
ウォーシュFRB議長は何を言ったのか?
2026年8月28日、ウォーシュFRB議長はジャクソンホール経済シンポジウムで講演しました。
特に市場が反応したのが、
「基調インフレが2%へ明確かつ十分なスピードで向かっていると確信できなければ、FRBにはまだ仕事がある」
という部分です。
ウォーシュ議長はさらに、
- FRBのインフレ目標2%は明確で固定された目標
- インフレが自然に2%へ戻るとは限らない
- 金利が金融政策の中心的な手段
- AI投資などにより米国の成長力が高まる可能性がある
という考えを示しました。
特に最後の「AIによる成長力上昇」は、投資家にとって少し複雑です。
AI需要が強いこと自体は半導体にプラス。
しかし、
AI投資拡大
→ 米国経済が強い
→ インフレが下がりにくい
→ FRBが利下げできない
→ 場合によっては利上げ
という流れにもなります。
つまり、AIの強さそのものが金利上昇につながる可能性があるわけです。
市場は「利下げ」ではなく「利上げ」を意識し始めた
ウォーシュ発言後、市場の反応はかなり明確でした。
それまで「しばらく据え置き」という見方も多かったところから、9月FOMCでの利上げ確率が急上昇しました。
Reutersによると、8月28日時点で9月利上げの市場予想は約57%まで上昇。さらに8月31日には、Barclaysが予想を変更し、
9月:0.25%利上げ
12月:さらに0.25%利上げ
という見通しを出しました。
8月31日には、市場で9月利上げ確率が65%超まで意識される状況になっています。
ここ数日で、
「利下げはいつ?」
という市場から、
「もしかして、また利上げするの?」
という市場へ空気がかなり変わりました。
NVIDIA好決算の翌日に半導体株が急落
個人的に一番興味深かったのがここです。
ウォーシュ発言の前日、NVIDIAは非常に強い決算と見通しを発表。
8月27日のNVIDIA株は約8.7%上昇し、NASDAQも**+1.57%、半導体指数も+2.3%**上昇しました。
完全に、
「AI・半導体強気相場」
という雰囲気でした。
ところが翌日。
ウォーシュ議長のタカ派発言を受け、株式市場は反落しました。
ここで改めて感じたのが、
どれだけ企業業績がよくても、金利には逆らえない局面がある
ということです。
特にNVIDIAのような成長株は、将来の利益に対して高い評価が付いています。
金利が上昇すると、その「将来利益の現在価値」が低下するため、高PERの成長株ほど売られやすくなります。
それでも半導体は完全には崩れなかった
ただ、さらに数日追っていくと、少し違う動きが出てきました。
8月31日には原油価格が上昇し、インフレへの警戒から米国金利も上昇。
米10年債利回りは4.75%付近まで上がりました。
普通なら、
金利上昇 → NASDAQ下落 → 半導体下落
となってもおかしくありません。
実際、NASDAQは8月31日に**−0.12%**で終了しています。
ところが、半導体関連には買い戻しも見られました。
背景には、AI需要そのものが依然として強いことがあります。
NVIDIAは8月31日、台湾のMediaTekに35億ドルを投資すると発表しました。
NVLink Fusionなどを通じ、AIデータセンターだけでなくPC・自動車などへNVIDIAのエコシステムをさらに広げる動きです。
つまり現在の半導体市場は、
マクロ環境:悪い
企業業績・AI需要:強い
という綱引きになっています。
これは僕自身、かなり重要だと感じています。
ではBitcoinはどうなったのか?
普通に考えれば、
FRB利上げ観測
→ 米国金利上昇
→ ドル上昇
→ Bitcoinなどリスク資産下落
になりやすいです。
実際、ウォーシュ発言直後はBitcoinにも売りが入りました。
ところが、その後Bitcoinをはじめとした主要仮想通貨は再び上昇。
Bitcoinは8月に約28%上昇し、一時8万ドルを超えました。
「FRBがタカ派なのに、なんでBitcoinが強いの?」
と感じた人も多いと思います。
僕もここが気になって調べました。
Bitcoin上昇の大きな理由は米財務省
今の仮想通貨市場を見るうえで、FRB以上に注目したいのが米財務省です。
米財務省は長期国債の買い戻しを拡大しています。
これによって長期金利を安定させようとする動きが意識され、
ドル安
+市場への流動性供給期待
+通貨価値の希薄化への懸念
が生まれました。
結果として、
Bitcoin・金などの「法定通貨以外の資産」が買われる
という動きにつながっています。
Reutersはこの動きを**「debasement trade(通貨価値の希薄化を警戒する取引)」**として報じています。
これはかなり面白い構図です。
FRBは、
「インフレを抑えるため金利を高くする」
一方で財務省は、
「国債市場を安定させ、長期金利の上昇を抑えたい」
という動きをしています。
この2つが同時に動いているため、Bitcoinが単純に「FRBがタカ派だから下落する」とはならなくなっています。
ETFなど機関投資家マネーもBitcoinを支えている
もう一つ大きいのが、機関投資家の存在です。
Bitcoinの上昇局面では現物ETFへの資金流入も回復し、ショートポジションの清算も重なりました。
Bitcoinが8万ドルを突破した局面では、大規模なショートスクイーズも発生しています。
さらに8月31日にはStrategyが約3.7億ドル相当のBitcoinを追加購入したことも報じられました。
つまり現在のBitcoin市場には、
個人投資家だけでなく、ETF・企業・機関投資家の資金
が入っています。
以前の仮想通貨市場とは構造がかなり変わってきていると感じます。
CLARITY Actは期待材料。ただし年内成立は簡単ではない
仮想通貨にはもう一つ、米国の規制整備という追い風があります。
特に注目されているのがCLARITY Actです。
これは暗号資産について、
- SECとCFTCの管轄
- 取引所のルール
- 投資家保護
- デジタル資産の法的位置付け
などを明確にしようとする法案です。
トランプ大統領も成立を強く求めており、この期待がBitcoin上昇の一因になりました。
ただし、ここは少し冷静に見ています。
2026年8月時点でも上院では議論が続いており、民主党側からは現在の法案について複数の問題点が指摘されています。
さらに11月には米国の中間選挙があります。
そのため、
「CLARITY Actが年内にすんなり成立する」
と考えるのは少し楽観的だと思っています。
むしろ現在のBitcoin上昇は、
CLARITY Actだけではなく、財務省政策・ETF資金・ドル・流動性など複数の材料
で説明したほうが自然です。
中間選挙前にFRBは本当に利上げするのか?
ここも個人的に気になっているポイントです。
トランプ大統領はこれまで低金利を強く望んできました。
それにもかかわらず、中間選挙直前にFRBが利上げすれば、
- 住宅ローン金利上昇
- 企業の借入コスト上昇
- 株価への逆風
- 景気減速
につながる可能性があります。
政治的には当然歓迎されにくいでしょう。
ただし、FRBは制度上、政府から独立しています。
8月31日、トランプ大統領はウォーシュ議長について、考えが完全に一致しているわけではないものの、**「彼は必要なことをするだろう」**と発言しています。
つまり、
「選挙前だから利上げしない」
とは言い切れません。
インフレが高止まりすれば、ウォーシュFRBが政治的圧力より物価安定を優先する可能性は十分あります。
次の最大イベントは米雇用統計
ここから市場を見るうえで、僕が最も注目しているのが米雇用統計です。
8月分の雇用統計は9月4日に発表予定。
Reutersの事前予想では、
非農業部門雇用者数:+5.8万人
失業率:4.1%
程度が見込まれています。
ここで雇用が予想以上に弱ければ、
景気減速
→ FRB利上げしにくい
→ 米国金利低下
→ NASDAQ・半導体上昇
という展開も考えられます。
Bitcoinなど仮想通貨にも追い風です。
逆に雇用がかなり強ければ、
利上げ確率上昇
→ 金利上昇
→ 成長株・仮想通貨に再び売り
となる可能性があります。
ここはかなり大きな分岐点になりそうです。
今回、市場を追って改めて感じたこと
今回のウォーシュ発言から市場をリアルタイムで追っていて、改めて感じたことがあります。
それは、
「一つのニュースだけで相場を判断すると危ない」
ということです。
たとえば、
ウォーシュがタカ派
↓
利上げ
↓
NASDAQ・Bitcoin下落
とだけ考えれば簡単です。
でも実際には、
FRB:利上げ方向
財務省:長期金利抑制
NVIDIA:AI需要拡大
機関投資家:Bitcoin購入
中東情勢:原油上昇
米議会:暗号資産規制整備
という複数の力が同時に動いています。
だから、
「FRBがタカ派なのにBitcoinが上がる」
「10年債利回りが高いのにNVIDIAが買われる」
といった、一見矛盾する値動きが起こります。
今の僕の投資スタンス
現時点では、半導体について悲観しすぎてはいません。
NVIDIAを中心としたAI需要は依然として非常に強く、8月のNASDAQも月間では上昇しました。8月のNASDAQは約**+3.9%**です。
ただし短期では、
金利・原油・インフレ
の影響をかなり受けやすい環境です。
そのため僕自身は、
「AI・半導体の長期成長」と「短期的な金利ショック」を分けて見る
ようにしています。
仮想通貨も同じです。
Bitcoinに強い材料があるからといって一直線に上昇するわけではありません。
FRBが実際に9月利上げへ動くのであれば、一時的に大きく調整する可能性もあります。
だからこそ、
短期のニュースだけでポジションを大きく動かすのではなく、大きな流れを見ながら判断する。
今はそんな局面だと感じています。
まとめ
今回のウォーシュFRB議長の発言から見えてきたポイントをまとめると、
- FRBは再び利上げを現実的な選択肢として意識させ始めた
- 9月利上げ観測が急上昇している
- 高金利はNASDAQ・半導体には短期的な逆風
- それでもNVIDIAを中心としたAI需要は強い
- BitcoinはFRBだけでなく、米財務省の政策・ドル・ETF資金などに支えられている
- CLARITY Actは追い風だが、年内成立を前提にするのは危険
- 次の大きな分岐点は9月4日の米雇用統計
という状況です。
僕自身も、今回の相場を見ながら、
「企業業績だけを見るのでも、FRBだけを見るのでも足りない」
と改めて感じました。
金利、政策、企業業績、資金フロー。
これらを一緒に見ることで、ようやく今の相場の全体像が見えてきます。
引き続き、半導体・NVIDIA・Bitcoinを中心に、市場の変化を実際の投資経験と合わせて追っていきたいと思います。
※本記事は筆者自身の投資経験・情報収集をもとにした内容であり、特定の金融商品・暗号資産の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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