2026年9月、ドル円の下落が止まりません。
先週まで1ドル=160円前後だったドル円は、9月8日に一時152.89円まで下落。円は約7か月ぶりの高値をつけました。
数日間で約4.5%も円高が進んだことになります。
ここまで下がってくると、気になるのは、
「ドル円はこのまま150円を割るのか?」
という点ではないでしょうか。
僕自身も最近のドル円を追っていますが、これまで意識されていた155円をあっさり割り、さらに153円まで突破したことで、相場の雰囲気はかなり変わったと感じています。
今回は、
- なぜここまで円高が進んでいるのか
- 150円を割る可能性はあるのか
- さらに145円前後まで円高になる可能性
- 逆に円安へ戻る条件
- 原油高・イラン情勢との関係
までまとめて整理します。
結論:まず150円が次の大きなターゲット
現時点では、150円を試す可能性はかなり高まったと考えています。
特に重要なのが、ドル円がこれまでサポートになっていた155円だけでなく、153円まで突破したことです。
現在の流れをシンプルにすると、
160円
↓
155円突破
↓
153円突破
↓
150円 ← 次の大きな節目
↓
145〜146円
という形です。
もちろん一直線に下落するとは限りません。
152〜153円付近では一度反発する可能性もあります。
ただし、今回の円高は単なる為替介入による一時的な動きではなく、日銀の利上げ観測と円キャリートレード解消が同時に進んでいるのが特徴です。
そのため、以前よりも円高が続きやすい環境になっています。
なぜドル円は152円台まで下がったのか?
最大の理由は、日銀の利上げ観測が急速に強まっていることです。
市場では、9月の日銀金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.25%にする確率を約97%まで織り込んでいます。
日本では4〜6月期GDPが上方修正され、実質賃金も前年比2.4%増と、2021年以来の強い伸びになりました。
こうした経済データが、
「日銀はまだ利上げできる」
という見方を強めています。
円キャリートレードの巻き戻しが本格化
今回の円高でもう1つ重要なのが、円キャリートレードの解消です。
これまで世界中の投資家は、
低金利の円を借りる
↓
ドルなどへ交換
↓
米国株・米国債などへ投資
という取引を大量に行ってきました。
しかし日本の金利が上がれば、この取引の魅力は低下します。
すると、
海外資産を売却
↓
ドルを売る
↓
円を買い戻す
という逆回転が起こります。
実際、海外での円建て借入額は2026年3月時点で約360兆円と過去最高水準に達していました。
つまり、まだ解消されていない円売りポジションが相当残っている可能性があります。
これが今回の円高で最も怖い部分です。
円高になる
↓
円ショートの含み損が増える
↓
損切りで円を買う
↓
さらに円高になる
という円高が円高を呼ぶ状態になり得ます。
150円割れは十分あり得る
ここまでドル円が152円台まで来た以上、150円はかなり現実的な水準になってきました。
150円は心理的にも非常に大きな節目です。
僕は今のところ、短期シナリオを次のように見ています。
メインシナリオ
152〜153円
↓
一度反発
↓
再び152円
↓
150円を試す
特に米国のインフレ指標が弱ければ、150円方向へ動きやすくなります。
では145円まで行く可能性は?
ここからが面白いところです。
JPMorganは、円ショートポジションの本格的な巻き戻しが起きた場合、ドル円が142〜146円まで下落する可能性を指摘しています。
つまり、
150円=かなり現実的
145円前後=円キャリー解消が加速した場合
140円前半=強い円高シナリオ
というイメージです。
以前なら「145円はかなり遠い」と感じましたが、160円から152円まで数日で動いた今では、以前ほど非現実的な数字ではありません。
145円方向へ進む条件
ただし、145円まで行くには追加材料が必要です。
特に重要なのは次の3つです。
1.米国のインフレが低下する
米CPIが予想より弱ければ、
インフレ鈍化
↓
Fed利上げ観測後退
↓
米金利低下
↓
ドル売り
↓
円高
となります。
現在は強い米雇用統計を受け、Fedの利上げもまだ市場で意識されています。
ここが崩れれば、円高が一段加速する可能性があります。
2.日銀が利上げを続ける
現在市場は9月利上げをほぼ織り込んでいます。
そのため、単に0.25%利上げするだけでは、一時的に材料出尽くしで円安になる可能性もあります。
重要なのはその後です。
日銀が、
「今後も利上げを続ける可能性がある」
という姿勢を示せば、円買いが続きやすくなります。
逆に、
「しばらく様子を見る」
となれば、円安へ反発する可能性があります。
3.円キャリー解消がさらに進む
実はこれが最も大きな材料かもしれません。
今まで長期間、
円を売れば儲かる
という状態が続いてきました。
しかし、その前提が崩れ始めています。
Reutersによると、投資家の円ポジションもすでに弱気から強気へ転換し始めています。
もし市場参加者が一斉に、
「円売りは危険だ」
と判断すると、ポジション解消が急激に進む可能性があります。
その場合は145円方向も見えてきます。
ただし原油高が円高を止める可能性
一方、円高一本で考えるのも危険です。
現在の大きなリスクが原油価格です。
ブレント原油は現在、1バレル97〜98ドル前後。
100ドルが目前に迫っています。
背景には、米国とイランを中心とした中東情勢の悪化があります。
ホルムズ海峡や紅海経由の原油輸送量が大きく減っており、中東からの原油輸送は一時、日量約1,800万バレルから約1,100万バレルまで減少しました。
さらに9月8日には、イラン支援勢力によるサウジアラビアのエネルギー施設への攻撃も起きています。
原油100ドル突破で状況が変わる
原油価格が100ドルを大きく超えてくると、
原油高
↓
ガソリン・輸送コスト上昇
↓
米インフレ再加速
↓
Fed利上げ観測上昇
↓
米金利上昇
↓
ドル高
という流れが起こります。
これは当然、ドル円の下落を止める材料です。
つまり今は、
日銀利上げ+円キャリー解消=円高
VS
原油高+米インフレ=ドル高
という綱引きになっています。
150円を割ったら次はどこを見る?
僕ならチャートを見るうえで、ざっくり次の水準を意識します。
152〜153円
現在の攻防ライン。
ここから一度154〜155円へ反発する可能性があります。
150円
次の最大の心理的節目。
ここを明確に割れるかどうかが非常に重要です。
145〜146円
円キャリー解消がさらに進んだ場合のターゲット候補。
JPMorganもこのあたりを円ショート解消時の水準として示しています。
142円前後
かなり強い円高シナリオ。
Fedがハト派化し、日銀が追加利上げ姿勢を維持し、さらに円キャリー解消が進むなど、複数の材料が必要になります。
逆に155〜158円へ戻る可能性もある
注意したいのは、現在の円高スピードが非常に速いことです。
160円から152円まで短期間で動いているため、短期的には円の買われすぎになる可能性があります。
さらに、
米CPIが強い
+
原油100ドル突破
+
Fed利上げ観測上昇
+
日銀が利上げ後に慎重姿勢
となれば、
152円
↓
155円
↓
156〜158円
くらいまで戻しても不思議ではありません。
だから僕自身は、
「円高トレンドだから一直線に150円を割る」
とは考えていません。
途中でかなり大きな戻しが入る可能性も意識しています。
現時点での僕のシナリオ
今の情報だけで考えるなら、僕は次の順番で可能性を見ています。
第一シナリオ:150円を試す
最も可能性が高いと考えています。
第二シナリオ:152〜153円から155円前後へ反発
急激に円高が進んだ反動です。
第三シナリオ:150円突破後、145〜146円方向
円キャリートレード解消が本格化した場合です。
現時点では、
150円:十分あり得る
145円:条件次第であり得る
140円割れ:まだメインシナリオではない
という見方です。
今回の円高は少し質が違う
僕が今回特に注目しているのは、政府の為替介入だけで円高になっているわけではないことです。
今回は、
日銀利上げ観測
+
日本経済データ改善
+
円キャリー解消
+
海外資金の日本への還流
+
円ショートの損切り
+
日米当局の円安警戒
が同時に起きています。
日本の加藤財務相も9月8日、7月の日米協調介入以降、両国の為替政策の方向性は変わっていないと改めて示しています。
これまでの、
「介入で円高→しばらくするとまた円安」
とは少し違う構造になっています。
まとめ:まず150円、その次に145円が見えてくる
ドル円は152円台まで下落し、円高の流れがさらに強くなっています。
今後を見るうえで重要なのは、
150円を割るかどうか
です。
現時点では、
- 150円:かなり現実的
- 145〜146円:円キャリー解消が進めば可能性あり
- 142円前後:強い円高シナリオ
- 155〜158円:原油高・米インフレ次第で反発可能
と考えています。
特に今後は、
米CPI
日銀9月会合
Fedの政策判断
原油100ドル突破の有無
円キャリートレードの巻き戻し
この5つをチェックしておきたいところです。
僕自身も投資をしているので、為替を見るときは「上がった・下がった」だけではなく、その値動きが何によって起きているのかをできるだけ確認するようにしています。
今回の円高はかなり速いです。
だからこそ、短期的な反発には注意しつつ、150円を割った場合に円高がもう一段加速する可能性は意識しておきたいと思います。
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